田口研究室の研究テーマ紹介

  田口研究室での研究テーマを紹介していきます!

 

高周波応答特性の環境温度依存性

InGaAs系HEMT

  研究室初期テーマになります。環境温度変化はPHEMTを構築する化合物半導体物性にダイレクトに変動を与えます。その結果DC特性が顕著に変動し、RF特性もDCの変動に引きずられるように変化します。初期の予想ではDC特性の変動結果とRF特性の変動は連動するはずでしたが、温度変化は結晶以外にも影響を与え、デバイス内部の寄生因子の部分消滅が発生していることが判明しました。今後は環境温度変化に伴う小信号回路モデルの変動モデルの構築を目標とします。

InGaAs系HEMTの量子状態

  前述のテーマの続きになります。環境温度変化が結晶に影響を与えるのであれば、結晶中における量子状態も同様に変動することになります。この量子状態は電子系、正孔系両者に関して言及する必要があります。ポテンシャルプロファイル、電子及び正孔準位、さらにはキャリア密度の温度依存性を理論解析によって明確することを目的とします。

GaN-HEMT

  環境温度変化の実験系が確立しているのですから、InGaAs以外の材料系において同様の研究を考えます。であればワイドギャップ半導体が興味深い特性を示すのではないかと考えるのは自然の流れでしょう。当研究室は複数の企業から最新のGaN系HEMTの提供を受け、InGaAs系PHEMTと同様の実験を行う準備を進めています。特にGaNはInGaAs系よりさらに低温での実験目標として現在実験系構築の最中です。

トライアル課題

電子輸送に関するスケールモデルの構築

  量子論的に解釈すれば電子の輸送において電子単体を観察によって確認する必要性はそれほど大きくないものです(そもそも出来ない)。でも出来れば見てみたい。その欲求をかなえることを目的としたトライアル課題がこちらになります。半導体物性に着目し、その物性を示す物理的構造を構造モデルとして構築し、そのモデル中を電子に見立てた鉄球がバイアス依存によって構造モデル中におけるミクロブラウン運動を行う状況を構築します。半導体特性を完全に再現するように構造モデルやキャリアモデルに様々な仕掛けを導入し、完全に現象の再現を目的とします。再現出来たら、組み込んだ仕掛けを再検討し、その仕掛けが意味する物理現象を考察し、見落としていたかもしれない「何か」の探求を行います。

難メッキ材料に対するメッキ技術検討

  どんな金属でも金メッキは出来ますか?答えはNoです。でもYesでもあります。メッキ技術は洗練され、絶縁物にでもメッキが出来る時代です。でも、そもそもメッキが出来ない金属(難メッキ材料)は、何故難メッキ材料なのでしょうか?理論的に理解されている側面もありますが、実際に観察したことはあるでしょうか?難メッキ材料の表面状態や、無理やり金メッキを施した場合のメッキ層の変遷を観察し、現象を明確に観察し、メッキ構築不能の確証となる電子顕微鏡像撮影に挑みます。また、逆にメッキが成立した場合、今度はいかなる物理現象が起こっているのでしょうか?同じくメッキが成立する確証的な電子顕微鏡像の撮影を目的とします。同時に非メッキ現象の理論化を行い、個体材料の最表面現象の解明を目的とします。

銅デンドライトの構造原理の解明

  難メッキ材料に用いて、銅メッキを行った際に、フラクタルの構造をもった銅が形成されます。この銅のことを銅デンドライトと呼び、研究室では銅デンドライトの構造原理の解明および特性の向上を目的に研究を行っています。

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